○議長(
島津勇典君) 次に、日程第五、ただいま議題といたしました議案に対する知事の説明を求めます。
知事福島譲二君。 〔
知事福島譲二君登壇〕
◎知事(
福島譲二君) 今回の
定例県議会に提出しております議案の説明に先立ち、最近における幾つかの県政の動きについて御報告申し上げます。 まず、第五十四回
国民体育大会・
くまもと未来国体については、天皇皇后両陛下を初め多数の皇族の方々をお迎えするとともに、選手、役員、
ボランティア及び観覧者など、延べ約百二十万人の方々に参加をいただいて開催されました。大会運営や民泊等を通じて、全国の選手団と県民との交流の輪が広がるなど、
本県ならではの県民総参加の温かな大会を開催することができ、また多くの感動を県民の皆様に与えていただき、県民の心に残る大会となったと思っております。特に、多くの会場で、
ボランティアの方々の活躍はもとより、民泊をなされた家庭や地域の方々が応援団となって、県外の選手たちに力いっぱいの応援をされている様子は本当にすばらしい光景でありました。 競技会では、全国の精鋭たちによって熱戦が繰り広げられ、七つの日本新記録を含む多くの好記録が生まれ、また、本県としては初めての
男女総合優勝、
女子総合優勝という輝かしい成績をおさめることができました。これまで、地道な努力の積み重ねにより、着実に競技力の向上を図ってこられた本県の選手、監督及び競技団体の皆様の健闘に対し心から敬意を表します。 また、引き続き開催された第三十五回
全国身体障害者スポーツ大会・
ハートフルくまもと大会についても、
皇太子同妃両殿下をお迎えし、全国から約二千三百人の選手の参加と四千人を超える
ボランティア及びサポーターの方々の御協力により、各会場で七競技の熱戦が繰り広げられました。式典前の子供たちの伸びやかでひたむきな姿や障害者の方々がその能力を豊かに発揮される姿は、まさに「がんばるが、いっぱい」の
スローガンが
スローガンに終わることなく、頑張ることのすばらしさやこれからもともに頑張ろうという思いを私たちの心に残し、全日程を無事終了することができました。
くまもと未来国体及び
ハートフルくまもと大会を成功に導くために多大な御尽力と御支援を賜りました県議会を初め県民の皆様に改めて厚く御礼を申し上げます。今後は、ハード、
ソフト両面にわたる貴重な財産や優しい
くまもとづくりを二十一世紀に引き継ぎ、本県が大きく発展する礎にしたいと考えております。 次に、九月二十三日から二十四日にかけて県下各地に猛威を振るった台風十八号による被害につきましては、その後の調査で被害額はさらに増加し、十一月三十日現在で、
農林水産業関係の被害八百億円、
土木関係の被害二百二十億円、
商工業関係の被害八十六億円等、総額一千百四十四億円に上っており、平成二年夏の大雨による被害額を超え、本県における
自然災害による被害として過去最高となっております。 県としましては、災害の早期復旧を図るため、特に急を要するものについては、九月定例会において
災害関連予算の補正を行い、復旧等に努めてまいりました。また、
激甚災害・
天災融資法の早期指定、適用等について、
災害対策協議会等の委員を初め県議会とともに、衆議院及び
参議院災害対策特別委員会や政府に対し強く要望を行ってまいりましたが、おかげをもちまして、十一月十二日に
激甚災害・
天災融資法の指定等が実現いたしました。これらを踏まえ、今定例会には関連する所要の
補正予算を計上いたしております。 次に、
我が国経済は、
緊急経済対策等を初めとする各種の政策効果の浸透等により、緩やかな改善が続いておりますが、依然として厳しい
雇用情勢にあるとともに、民間需要に支えられた
自律的回復に至っていない状況にあります。 政府においては、景気を本格的な回復軌道につなげていくため、去る十一月十一日、
経済対策閣僚会議を開き、総事業費で十八兆円規模の
経済新生対策を決定し、これに伴う第二次
補正予算が現在臨時国会で審議されております。 県としても、この
経済新生対策の決定に沿い、県内景気の回復の足取りをより確かなものとしていくため、台風十八号に伴う
災害対策のほか、
地域活性化に役立つ
社会資本整備、
中小企業経営安定対策等を内容とした
経済対策を十一月十五日に決定し、時期を失することなく速やかに対策を講じるため、国の関係省庁と密接に連絡をとりつつ、今定例会中に
経済対策関連の
補正予算を追加提案する予定としております。 次に、本県の雇用・失業情勢は、九月の
有効求人倍率が〇・三五倍と、八月に引き続き本年度最低を記録しており、極めて厳しい状況が続いております。また、去る九月から採用選考が開始された来年度
新規高卒者の
就職決定率についても、昨年と比較してさらに低い状況にあるなど、大変厳しいものがあります。 このような状況を踏まえ、県としては、九月には行政と労使双方による
労働問題政労使会議を開催するなど、三者の緊密な連携を図りながら、実効ある
雇用対策を推進することとして、十一月には、就職が決定していない来春卒業予定の
大学生等の
就職面談会を労働省と共同して実施したところであります。今後とも、
雇用対策については、
緊急地域雇用特別基金事業の着実な実施に努めるとともに、
雇用環境の整備等に取り組んでまいります。 次に、
本県財政状況については、
バブル経済崩壊後、景気の長期にわたる低迷により、県税、
地方交付税といった
主要一般財源が伸び悩む一方、国の
経済対策に呼応した公共投資の追加及び
地方税減税の財源として
県債発行額が急激に伸びたことにより、
公債費等の
義務的経費が年々増嵩するなど、極めて厳しい状況にあります。また、十月に公表しました本県の財政の現状と見通しの中でお示ししました中期的な財政の見通しにおいては、毎年度大幅な
財源不足が見込まれる中で、財源調整に活用し得る基金は、平成十一年度末の
残高見通しで今後見込まれる単
年度ベースでの
財源不足の調整をできるかどうかという程度となっており、今後の財政運営は極めて厳しい事態に直面しております。 このため、平成十年度に改訂した第二次
行政改革大綱への取り組みをさらに徹底するとともに、来年度予算については、
県単独公共事業についても
マイナスシーリングを設定するなど、
財政健全化に向けて一層の努力を進めてまいります。 次に、新しい
総合計画の策定については、来春策定を目途として、現在鋭意検討作業を進めております。 これまで、県の今後の
基本的施策に関して県民の皆様から幅広く意見をいただくとともに、地域ごとの課題については
県事務所を中心に検討を進めておりますが、
具体的施策の検討に当たっては、県と県民の皆様方との適切な役割分担のもと、お互いに協力し合って、さまざまな課題に取り組むことを念頭に置きつつ、時代の変化に適切に対応するという考え方を基本としてまいりたいと考えております。 今後とも、県議会を初め県民の皆様のより一層の御協力をお願い申し上げます。 次に、
チッソ株式会社に対する
金融支援については、去る十一月二十五日に自民党水俣問題小委員会が開催され、六月にまとめられた抜本策の中で
協議調整が必要とされていた事項について議論がなされました。 この中で、
民間金融機関の支援措置、チッソの株主責任や内部留保の確保等について一定の整理が行われ、抜本策の実施に向け、関係者による詰めの作業が進められているところであります。また、この際、環境庁から熊本県に対し、チッソの急激な収益変動によっても患者補償に支障が生じないようにするための
セーフティーネットについては、地元の協力として、
チッソ支援に関連して本県が出資した
水俣関連の三財団の基金の活用について要請がありました。この要請については、県議会の皆様や関係者とも十分御相談しながら対応してまいりたいと考えております。 抜本策については、今月末までに策定予定の
チッソ再生計画を踏まえ、確実に実施されるよう、国に対し引き続き強く働きかけてまいりたいと考えておりますので、県議会の皆様の御支援をよろしくお願いいたします。 次に、
コンピューター西暦二〇〇〇年問題については、国において、
コンピューター西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画が昨年九月に示されたことにより、
未然防止等の対応が各分野において進められ、また、本年十月には、食糧や飲料水の備蓄等に関する国民一人一人の留意事項が明らかにされたところであります。 本県としては、熊本県
コンピューター西暦二〇〇〇年
問題対策本部を設置するとともに、本年十月には
危機管理計画を策定し、全庁的な取り組みを講じてきたところであり、大きな混乱は生じないと考えておりますが、今後は、万一の事態に備えて、年末年始に職員を庁内待機させ、県民に適切な情報提供を行うなど、県民生活に及ぼす影響をできる限り最小限に抑える対策を講ずることとしております。 次に、今回の
定例県議会に提案しております
補正予算について御説明します。 今回の
補正予算は、さきの災害の復旧等早急に実施することが必要な事業に要する経費、
公共事業の内示増に伴うもの等事業の計画的な執行上必要な経費及び
チッソ株式会社に対する支援に要する経費等について補正を行うこととし、
一般会計総額で百五十二億一千六百三十六万三千円を計上しました。その主な財源は、国庫支出金七十一億円、繰越金二十二億円、県債五十三億円であり、これを現計予算と合算しますと八千六百二十七億七千三百八十万三千円となります。また、特別会計の
補正予算は十四億七千三百三十五万二千円であり、これを現計予算と合算しますと五百億七千六百九十八万六千円となります。 以下、歳出予算の主な内容について御説明します。 まず、災害復旧事業関係については、
天災融資法の適用に伴い、被害を受けた農家等の経営安定等に必要な資金として天災資金を創設するとともに、利子補給の上乗せを行うこととしております。 また、特に、八代海岸地域において塩害による深刻な被害を受けていることに早急に対応するため、被害農地の堆積土砂の撤去や土壌の塩分除去等を行う現年塩害対策除塩事業等を実施するとともに、果樹産地の復旧を図るための果樹被災園復旧対策事業、被害森林の復旧を図るための森林災害復旧事業等を実施し、被害地域のできる限りの早期復旧を図ってまいります。 さらに、八代海沿岸地域の海岸保全施設については、異常高潮被害に対応するため、堤防のかさ上げなどを含めた災害復旧事業等の採択について、関係各省庁と協議をしてまいりたいと考えております。 次に、
公共事業関係については、国の
公共事業等予備費の配分に伴う国営直轄負担金及び国庫補助事業の内示増や追加認証を得た事業等について、三十七億円を計上しております。 また、景気刺激対策や工事発注の平準化の観点から、
県単独公共事業のゼロ県債について活用を図り、限度額を二十九億八千万円に設定することとし、事業の円滑な執行に努めてまいります。 次に、
チッソ株式会社の患者補償金支払いのために行う貸付金については、去る十一月二十五日に開催されたチッソ
金融支援協議会において、同社の平成十一年度上半期の決算状況等を勘案すると、十四億五千七百万円の融資が必要である旨の結論が出されました。 この結論を受けるとともに、同社の経営状況等を考慮しますと、水俣病患者に対する補償金の支払いに支障が生じないようにし、あわせて地域経済社会の安定に資するためには、今回の県債発行はやむを得ないものと考え、これに要する経費を計上しました。今回の県債発行による融資額を加えますと、同社に対する患者県債分の融資額累計は八百八十一億九千三百万円となりますが、今後とも同社に対しては、引き続き経営努力による収益の拡大とあわせて地域の雇用確保を、また、国に対しては、同社に対する指導及び支援の一層の強化を要請してまいりたいと考えております。 以上、今回提案しております
補正予算について御説明申し上げましたが、今
定例県議会には、本年七月に地方分権一括法が制定されたことにより、県としても関係条例の制定、改正を行う必要があり、知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理することに関する事項を定めた
熊本県知事の権限に属する
事務処理の特例に関する条例の制定等を行うほか、その他の条例案件、事件議決案件及び知事
専決処分の報告、承認案件等もあわせて提案しております。また、去る十月五日に県
人事委員会から勧告のありました職員の給与改定等についての関係条例案件のほか、人事案件も今会期中に追加提案申し上げる予定でありますので、これらの議案についてよろしく御審議の上、何とぞ速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。 ───────○───────
△日程第六
教育委員会の意見
○議長(
島津勇典君) 次に、日程第六、ただいま議題といたしました議案のうち、第十号につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定により
教育委員会の意見を聞く必要がありますので、ただいまから
教育委員会の意見を求めます。
教育委員会委員長長野吉彰君。 〔
教育委員会委員長長野吉彰君登壇〕
◎
教育委員会委員長(長野吉彰君)
教育委員長の長野吉彰でございます。 それでは、本議会に提案されました第十号議案について、
教育委員会の意見を申し述べます。 この議案は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の制定による地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴い、条例を制定するものであります。 その内容は、新たに創設された条例による
事務処理の特例の制度により、
教育委員会の権限に属する事務の一部を市町村が処理することとするものであります。 対象とする事務は、これまでも市町村
教育委員会へ委任していたものであり、今後も引き続き市町村が処理することとするのが適当であると判断いたします。そのため、本条例の制定が必要であると考えます。 ───────○───────
△日程第七 休会の件
○議長(
島津勇典君) 次に、日程第七、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。 六日及び七日は、議案調査のため、休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
島津勇典君) 御異議なしと認めます。よって、六日及び七日は休会することに決定いたしました。 なお、明四日及び五日は、県の休日のため、休会であります。 ───────○───────
○議長(
島津勇典君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 明四日から七日までは休会でありますので、会議は来る八日午前十時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第二号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午前十時三十分散会...